ピーエスの取り組み - 過ぎたるは及ばざるに劣る

その他(食)

その36. 四季養生法「夏」 - 夏涼しきことを極めず!! -

生理学博士 久間英一郎

中国の歴史家、司馬遷の言葉を借りますと「万物は春に生じ(誕生)、夏に長じ(成長)、秋に収め(収穫)、冬に蔵す(貯蔵)」となります。これから すると、夏は成長の季節ということになります。天の気、地の気は相交わり、万物が最も激しく活動し、変化し、美しく見える、まさに血は熱く肉は踊る時期な のです。この時期はまた、裏から見ると、万物が激しく消耗する時期でもあります。

この時期の養生は、消耗した血肉にエネルギーを送る「脾」(胃腸)の養生がまず第一です。「養生訓」でお馴染みの貝原益軒は「夏は、"陰気"が腹中 に隠れているので消化が遅い。それゆえ、多く飲食してはいけない。温かい物を食べて胃腸を温めなさい。冷水を飲んではならない。全ての生もの、冷たいもの は避けること。冷麺をたくさん食べないこと。虚弱な人は、とりわけ下痢に注意すべきである。」そして、四季のうち夏は最も養生すべき季節としています。

特に現代は、外は暑くて(ヒートアイランド)汗をかき易く、内はエアコンで異常に冷えやすくなっていますので、体温調節、健康管理が非常に難しく なってきています。汗をかいたら、こまめにシャワーを浴び、その後は長時間クーラーにあたらないよう、また冷たい清涼飲料水、ビール、果物等を摂り過ぎな いよう(特に夜遅く)注意が必要です。中国「千金方」は「冬温かなることを極めず、夏涼しきことを極めず」と教えています。実に味わい深い言葉です。

この時期の食物は、殺菌力があってエネルギー代謝に役立つ梅干、ニンニクや生姜、唐辛子少々、それにゴマ塩がおすすめ。また苦味のある苦瓜は絶品、質の良い甘み(黒砂糖、蜂蜜等)は胃腸を和ませます。

次に夏の運動養生。中国伝統医学には、

  1. "痛則不通"(体のどこかが痛むのは、血流や便等の通じが良くないからだ)
  2. "通則不痛"(血流や便等が通じていれば痛むことはない)

という考えがあります。まさに至言です。全身の気血の流れの重要性を指摘しているからです。この気血の流れを円滑にするための養生法として、「大気浴法」と「自然塩浴法」をご紹介します。

まず、「大気浴法」。現代人は益々自然から遠ざかった生活をしていますので、たまにはハダカ、ハダシになって1日30分位、日光浴するように心掛け ましょう。宇宙の気を取り入れることにより、血行、新陳代謝が促進されます。また、1分ずつ交互にハダカになったり、衣服を着たりする"温冷交互の大気 浴"も非常に効果的です。毎日続けると、皮膚の免疫力が上がり、風邪等の予防にも役立ちます。真夏は、日中は避け早朝が賢明です。

次に「自然塩浴法」。一番簡単な方法は、砂浜で穴を掘り、海水パンツになってその中に1時間ほど埋もれることです。これによって体内の邪気、毒素が 排出されて大地の精気が入ってきますので、高い健康効果があります。これは、ガンの自然療法としても役立てられているほど素晴らしい温熱解毒効果です。

家庭で出来る方法もあります。入浴時に全身を濡らした後、一つまみの自然塩を全身に擦り込み、マッサージするのです。これも皮膚の代謝が上がり、実にさっぱりします。これにさらに温水交互浴を組み合わせるとさらに楽しくなります。お試しあれ。

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