ピーエスの取り組み - 過ぎたるは及ばざるに劣る

造血

その17. 青野菜食のすすめ(上)

生理学博士 久間英一郎

読者の皆様は、「もしこの世にこれがなければ生きていけないもの」と聞かれたら何と答えられるでしょう。水、空気、食糧......。

実は今回取り上げる「葉緑素」もその一つなのです。もしこの葉緑素がなければ、ヒトは勿論どんな動物も生きていけないのです。

サトウサンペイ氏は、朝日新聞(1999.8.9)のコラム上に栄養学の権威で桜美林大学名誉教授、川島四郎博士より次の事を教わったと書いています。

「動物の血色素(ヘモグロビン)と同じ構造を持っているのは青い草の葉緑素だけなんです。」「赤い血を持っている全ての動物は、青い草を食べないと 生きていけません。肉食動物は歯がとんがっているので周りが草原でも草が噛めないから草食動物を殺して腸の中の草を飲み込んでいるのです。」

確かに図1の通り、葉緑素と血色素は極めてその構造が似ています。違うのは核の中心が葉緑素がマグネシウム(Mg)に対し、血色素が鉄(Fe)である点だけです。このMgがFeに変わるプロセスについて、富山医科薬科大学教授、田澤賢次氏はこう言っています。

「野菜を食べると腸管に野菜の葉緑素が入ってきます。その葉緑素からマグネシウムがはずれます。そして粘膜の所にイオン化した鉄があれば肝臓でヘモ グロビン(血色素)にくっつきます。」さらに続けて、「一般的に内科医は貧血を治療する際、鉄剤を与えます。ですが鉄剤だけを与えて終わる先生は根本的な 治療をしていないといえます。」「内科の先生でりっぱな先生というのは、ヘモグロビンと葉緑素の関係も知っていて、貧血を治すには野菜も食べなさいという はずです。」

このように葉緑素は、「緑の血液」と呼ばれる位、造血に深く関与しています。食物が血となり、血がヒトの細胞をつくり維持している限り、我々ヒトの 健康は血の良し悪しにかかっています。読者の皆様も小松菜、ホウレン草、ピーマン等々の青野菜を充分に摂ってきれいな血液をつくって欲しいものです。

ちなみに前述の川島博士は、母校桜美林高が甲子園に出場した時(26年前)選手の宿舎のおかみに電話して「毎日青野菜を食べさせてくれ」と頼んだそうです。そのかいあってか、桜美林は全国優勝したそうです。

図1 人間の血色素と葉緑素の構造式
その17.jpg

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