ピーエスの取り組み - 過ぎたるは及ばざるに劣る

コラーゲン

その84.ロコモ対策は骨・関節に加え筋肉が重要! コラーゲンは全てに有効だ!

生理学博士 久間英一郎

 戦後70年、団塊の世代が定年を迎えた頃から日本人は一気に高齢化しました。加齢と共に日本人の足腰はどんどん弱体化し、歩行困難、車イス、寝たきりが増加したため、2007年、日本整形外科学会は、この症状をロコモティブシンドローム(運動器症候群)と名づけました。
 一般には「ロコモ対策は、骨・関節、カルシウム」という考えが根強いように思われますが、それだけでは不充分です。
 そこで今回は、ロコモ対策には前記に加え、「筋肉」「運動」「コラーゲン」が極めて重要であることを書きたいと思います。
 戦後の「食の欧米化」と「3C」と呼ばれる電化製品による生活様式の変化は、肥満、運動不足を招き、いわゆる「メタボ」を招きました。このメタボの陰で静かに進行したのが「低体温」です。そしてこの二つは密接な関係があります。「体温の大半が筋肉で生まれる」ことからして、戦後の日本人がいかに運動不足、筋肉を使ってこなかったのかをこの「低体温」は示しています。
 そして筋肉を使ってこなかったことが"ツケ"となって今日の「ロコモ」を招き寄せたのです。
 筋肉は収縮することによって力を発生させ、骨・関節と繋がって動物の運動機能を支える組織です。
 これが40歳過ぎから徐々に減少し、(年に約0.5%ずつ、ひどい時は年5%も)80歳までに30~40%減少すると言われております。
 立ち上がる時に「ヨッコイショ!」と言ったり、手すりに摑まらないと階段の昇降ができない等は、もうかなりの筋力ダウンかもしれません。
 筋肉減少の特徴は、自覚症状がなく、「いつの間にか筋肉減少」なのです。そして筋肉が減少すると足元が不安定になり、転倒すると骨折のリスクが増えることになります。また逆に、骨粗鬆症や関節痛があると、歩こうとしなくなり、筋肉を益々弱体化させるというふうに、筋肉減少と骨・関節痛は悪環境を繰り返すことになるのが怖いのです。
 そして最終的には、サルコぺニア(筋肉減少症)となるのです。
 そこで筋肉減少と骨・関節痛の悪循環を断ち切り、筋肉増加、骨・関節痛の予防、改善を勝ち取るパスポートはないのでしょうか? あります。
 これが「運動」と「コラーゲン」なのです。有り難いことに、例え90歳であろうと「運動すれば筋肉量は増える」ことがわかっています。筋肉量が増えると足腰が丈夫になり、骨・関節のケアに大いに役立つだけでなく、体温の上昇と共に免疫力のアップ、生活習慣病の予防対策等に有効であることがわかっています。
 おすすめの運動は、①やや速めのウォーキング②スクワット③もも上げ④かかと上げetc(過ぎたるは...№80参照)。いずれも無理せずに体と相談しながら取り組んでください。
 最後に、筋肉量アップに最も重要なことはコラーゲンです。筋肉は多数の筋繊維を筋膜で束ねたような形状をしており、その筋膜の主成分がコラーゲンですからコラーゲンが重要なのです。
 2010年に食品化学新聞社の「FOOD STYLE21 vol 14 №7」で発表された研究によると、スポーツ選手にホエイプロテイン20gを食べてもらった人と、ホエイプロテイン10gとコラーゲンペプチド10gを食べてもらった人の筋肉量を調べたところ、トレーニング期間中はコラーゲンを与えた方がプロテインだけより筋肉量が増加し、トレーニングしない期間は筋肉の減少が少なかったことがわかりました。
 このことは、運動するとコラーゲンが筋肉を増加させ、運動しない時もコラーゲンを飲んでおくと筋肉が減少しなくて済むことを意味しています。
 皆様もプロテインで筋肉をつけようと思われた時は、必ずコラーゲンを忘れないことが肝要なのです。
 コラーゲンは「丈夫さ」と「弾力性」を兼ね備えた成分で、骨・関節、筋肉等々を常に若々しく保ってくれる、まさしく「転ばぬ先のコラーゲン」なのです。

前の記事 コラム一覧へ戻る 次の記事
トップ