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その83.中国伝統医学が教える 「降血糖、降血脂」の妙薬・桑葉

生理学博士 久間英一郎

 皆様新年おめでとうございます。今年もよろしくお願い致します。
 さて、新年の一回目は、忘年会、新年会と暴飲暴食が続き、血糖や肥満が心配な方にとってのお年玉情報です。それも美容にも役立つ優れもの...それが、桑葉なのです。
 桑葉は、4000年と言われる中国伝統医学の中でも重要な漢方薬として登場しています。
 発熱、頭痛、せき、のどの痛みなどの風邪の症状や目の赤み、痛みなどにも使われますが、筆者が特に強調したいのは、食後の糖やコレステロールの吸収を抑える働きです。すなわち、「降血糖、降血脂」なのです。『本草綱目』を著した李時珍は、「桑葉はお茶の代わりに煎じて飲むと、よく消渇(糖尿)を止める」と言っています。
 その作用機序を簡単に書きますと、次のようになります。ご飯などのデンプン類は、糖の分子が多数繋がってできている多糖と言います。これが分解酵素によって分子2つまで分解されたものを2糖(砂糖)と言います。(2糖までは吸収されません)。これがαグルコシダーゼという分解酵素によって単糖(ブドウ糖)にまで分解されると速やかに吸収されるのです 。
 その時、食前に桑葉を摂取しておくと、桑葉に含まれるデオキシノジリマイシンという成分がαグルコシダーゼの働きを阻害しますので、食べた糖分の約1/3が単糖まで分解されないで体外に出ていきます。その結果、約1/3が吸収されないことになるのです。
 平たく言うと、団子3個食べても、桑葉を食べておくと2個しか吸収されないことになるのです。従って血糖値が上がらない、肥満になり難いということになる訳です。 (詳しくは別表をご参照ください)

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 加えて桑葉はコレステロールを低下させてくれますので、動脈硬化の予防、ひいては脳卒中、心筋梗塞、高血圧の予防にも役立つことになり、飽食になり過ぎの現代人にとって有り難い食材なのです。
 さらに、桑葉はご存知の通り、絹を生み出す蚕のエサなのです。蚕は桑葉だけを食べて、あのスベスベをつくるのですから私達が食べてもシルク肌ができない訳はないのです。
 確かに、栄養成分を調べてみても、ビタミン、ミネラル、食物繊維などは他の野菜に比べてもかなり高いものがあり、特にカルシウムは、牛乳の20~27倍というデータもあり、これを健康と美容に利用しない手はないでしょう。特に美食、飽食に加え、シルク肌まで求める貪欲な現代人にとっては何より必須と言えるでしょう。
 臨済宗の開祖で建仁寺を創建した栄西禅師は、中国(宋)での桑葉の勉強を基に書いた『喫茶養生記』の下巻で桑の効能を書いていますが、その中で、「病には五種の相あり、一に飲水(糖尿病)、二に中風(脳卒中後遺症)、三に不食(夏バテ、冷気病)、四に瘡病(おでき)、五に脚気(足の痛み)、そしてこれらの諸病を治する妙薬は『桑』であり、これを服すれば長寿無病を得られる」と書いています。
 京都、建仁寺には『桑の碑』が建てられていますので、いらした際には是非ご覧ください。

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