ピーエスの取り組み - 過ぎたるは及ばざるに劣る

その他(食)

その18. 青野菜食のすすめ(下)

生理学博士 久間英一郎

前回は、「健康な血液をつくるために青野菜をたくさん食べましょう」ということを書きました。

青野菜にはこの他にもたくさんの効用がありますので、今回はそれについて書きます。結論からいうと、「青野菜は、ビタミン、ミネラル、食物繊維の宝庫」なのです。

ビタミンB1は、糖代謝に深く関与し、ビタミンB2複合体(B2、B6、葉酸、パントテン酸)は、糖質、タンパク質、脂質の代謝やエネルギーを発生 する酵素の補酵素として重要な役割をもっています。緑黄色野菜に特に多く含まれるカロチン(プロビタミンA)は、肌荒れ、夜盲症の予防等に効果があり、ビ タミンCやビタミンEは、体内の水分や油分の酸化防止に、つまり体の老化防止にすぐれた力を発揮します。特にビタミンCはストレスから身を守る副腎皮質ホ ルモンやコラーゲンの体内合成に必須の栄養素です。

また、青野菜はカルシウムを初めとするミネラル(カリウム、マグネシウム、鉄、イオウ、亜鉛、マンガン他)をたくさん含む食物でもあります。カリウ ムは日本人が摂りすぎといわれる食塩(NaCl)のナトリウムとバランスをとる意味があり、また、穀物やいわゆる「ご馳走」と呼ばれる食物はほとんど酸性 食品ですが、ミネラルをたっぷり含む青野菜がアルカリ食品としてこれを中和する意味があるのです。

世界の三大長寿村と呼ばれるパキスタンのフンザ地方では、ヒマラヤの雪解け水が山々を削って河岸に堆積したミネラルたっぷりの土を汲み上げて畑にま いているそうです。そこで育った作物は、当然ミネラルたっぷりで長寿に一役かっているのです。「エジプトはナイルの賜物」というヘロドトスの言葉がありま すが、かの古代エジプト文明の繁栄もナイルが運んでくるミネラルのおかげだったと思われます。

青野菜には、さらに忘れてはならない食物繊維があります。食物繊維は消化吸収されないが故に軽んじられてきましたが、今日では生活習慣病(ガン、脳 卒中、心臓病)との関係で、極めて重要な成分となっています。昨今の美食には、食物繊維があまり含まれていません。そのため便の量が少なくなり、それを押 し出すために腸管が狭くなって便が固くなるそうです。加えて繊維不足は腸内悪玉菌を繁殖させ、血液を汚し、ガン等の原因にもなるのです。逆に繊維が豊富だ と便が増え、腸内細菌も善玉菌が増えますので、腸のぜん動運動が活発になり、便秘の解消、さらには生活習慣病の予防に役立つのです。食物繊維は、食物の吸 収をゆっくりにしてくれますので、肥満や糖尿病の改善にも役立ちます。

このように青野菜にはすばらしい成分が含まれていますが、現代人にとってはまだまだかなり不足していますので、次の点を参考にして大いに摂って下さい。

  • 1日の目標摂取量:300g
  • 緑黄色野菜をもっと多く(緑黄色:淡色=1:1)
  • そのためにゆでて、炒めて、煮物として
  • 旬のもの、露地栽培、近郊で穫 れたものを
  • いも、豆、ゴマや海藻、きのこ等と組み合わせて
  • 果実も忘れずに
  • 良質油をドレッシングにして
  • 必要な時にはサプリメント(補助食品)も利用して
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