ピーエスの取り組み - 過ぎたるは及ばざるに劣る

牛乳

その68.「牛乳」是か非か?(上) 牛乳は子牛のもの 人のものではない!

生理学博士 久間英一郎

「久間英一郎全国講演会」もおかげ様で4年目を迎えますが、毎回「牛乳神話」のあまりの根深さに驚かされております。
 即ち、「牛乳は"完全食品"だから栄養が豊富、カルシウムが豊富だから骨が丈夫に...」であります。これまでも何回となく牛乳については書いてきましたが、今回、再度二回に渡って牛乳の是非について書いてみたいと思います。
 まず、忘れてならないのは、牛乳は牛の赤ちゃんが離乳期までの間、飲むものであることです。全ての哺乳動物の中で他の動物の乳を飲むのはヒトだけです。加えて離乳期を過ぎても飲み続けているのもヒトだけです。
 乳は、"白い血液"と呼ばれ、ヒトとヒトの間でも型が合わない輸血は死を招く位ですから、経口といえども他動物の血を体内に入れるとどうなるかは想像に難くないでしょう。
 さらに、牛は誕生時にすでに50~60㎏の体重を持ち、これが二年足らずで1000㎏(約20倍)にもなるのですから、牛乳にはそれだけのエネルギーが 存在していることになります。ヒトは、せいぜい3㎏が10㎏(約3倍)になる程度ですから、牛乳はヒトには濃過ぎる、即ち、"成長促進剤"としての意味を 持ちます。成長促進剤は、裏を返せば、"老化促進剤"にもつながります。
 さらに加えて牛の体温は、40℃前後とヒトより数度高いため乳脂肪の融点も高く、その分、牛より低いヒトの体内では乳脂肪が固まり易くなるのです。心臓 の冠状動脈で固まると心筋梗塞、脳の血管で固まると脳梗塞・脳卒中というようにリスクが高まるのです。勿論これらの病気の前に動脈硬化が存在するのは言う までもありません。

  次はカゼインタンパク質。乳タンパクの代表であるカゼインタンパク質は、脂肪も手伝って非常に腐敗され易く、その結果、腸内腐敗産物は、血液を汚すことに繋がり、これが大腸ガン、乳ガン、前立腺ガンや様々なアレルギー、乳幼児の鉄欠乏性貧血等のリスクを高めるのです。
 また、牛乳に含まれる糖質も、日本人の場合は、ラクターゼという分解酵素が離乳と同時に減少しますので、分解され難くなり、下痢や腹部膨満感が様々な胃腸障害、白内障等を引き起すリスクが高くなって来ます。
 さらに市販の牛乳の場合、加工の過程に非常に問題があります。加熱処理の過程で酵素が失われるばかりか、各農家から集めた生乳の粒を均等化するために機 械でかき回すのですが、この時、乳脂肪が酸素と結びつき、過酸化脂質化するのです。まさしく「市販の牛乳は『錆びた脂』ともいえる」(新谷弘実博士)ので す。
 牛乳で困るのは、牛乳だけの問題に加えて、多くの場合、ケーキやチョコ、クッキー、菓子パン等に含まれる他の有害成分(白砂糖・添加物・マーガリン他の 有害油脂等)と重なりあって体内に入って来る点です。子供達には特に注意が必要です。これらの有害作用が子供達の体だけでなく精神活動にまで悪影響を与え ていることが識者の間で指摘されています。
 世のお母様方は、食事の時にお茶代りに「少しでも栄養を...」との思いから牛乳を飲ませている場合が多いかと思いますが、これはよくありません。カロリー 豊富の牛乳で胃をふさぐと、胃が満足して主食が入らなくなる恐れがあり、これが間食を増やすことにつながり、その結果、前述の有害食品の摂取が増えるとい う悪循環に陥るからなのです。

 以上、牛乳には様々な問題があります。
 そもそもが"低脂肪牛乳"等々と言い訳しなければならないのは、「牛乳に問題あり」と認めているように筆者には聞こえてくるのですが...。
   次回は牛乳とカルシウムについて。

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