ピーエスの取り組み - 過ぎたるは及ばざるに劣る

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その45. 「覚悟」は強し!時にはストレスと戦うべし!

生理学博士 久間英一郎

ガン、脳卒中、心臓病、糖尿病などの現代病の原因は色々ありますが、その全てに深く係っているのがストレスです。今回は、このストレスについて少し書くことにします。
 人はこの世に誕生した瞬間からストレスを受けます。そして成長と共にストレスは質、量ともに変化していき、社会人となり人間関係が広がると、それにつれてストレスも増え複雑化します。
 これらのストレスは、経済社会だけでなく地域社会や家庭にも様々に姿を変えて存在しています。
 では、このストレスをどう解決していったら良いのでしょうか。ストレスとは、人間関係、仕事、気候(環境)などによって引き起こされる精神的肉体的な緊 張(不安)ですので、まずはリラックスと休養が必要です。全身的にストレスが溜まっている場合は、気分転換の前に休養が必要です。その後、リラックスして 自分の好きな趣味をしたり、友人と会ったり、運動したりも良いでしょう。酒の力を借りるのも良いでしょう。でも飲み過ぎると新たなストレスを生みかねませ んのでご用心を。
 またストレスを感じた時には一服のお茶も有効です。お茶に含まれるテアニンが脳のα波を引き出しリラックスさせたり、GABAが脳の代謝を上げたり、ビタミンCがストレスを処理する副腎皮質ホルモンの活性を上げる作用がそれぞれあります。
 でも、一番大切なことは一人で考え込まないことです。なぜなら、一人の思考回路から導き出される結論は、堂々巡りでストレスを深めるか、極端に走るかの可能性が高いからです。
 ストレスが深まると、生理学的には自律神経系の交感神経が刺激され、例えば、胃では胃酸の濃度がどんどん高まり、自分の胃酸で自分を消化する胃潰瘍、十 二指腸潰瘍を引き起こしたりとか、循環器系(高血圧、心筋梗塞)や呼吸器系等々の疾患を引き寄せる危険性が高まることが指摘されています。(こう書いてい る筆者も、鬼の編集長からの矢の催促で胃痛を感じながらも明日からの別府出張の温泉を楽しみに書いています)
 筆者のお薦めストレス対策は、家族や親友に「どういう時の自分が一番自分らしく輝いているか」を予め聞いておいて、ストレスを感じた時にそれを思い出し て実行してみるのはいかがでしょうか。ストレスは、いわばエネルギー支出先のイビツさとも言えますので、自分らしく輝くことが出来る方向にエネルギーを支 出出来れば、エネルギーバランスが良くなり自分が癒されるのではないでしょうか。
 筆者が本稿で一番強調したいのは以下のことです。ストレスは無くすことは出来ません。また、ストレスは受けとめ方次第で変わるとも言われています。なら ば、しっかりと受けとめることも一方では大切ではないでしょうか。受けとめきれない場合は、ストレス要因と敢然と戦うことも時には必要だと思います。戦い の中から新たな受けとめ方を学習出来るかもしれません。「静かなる覚悟」とでも言えるでしょうか。「何しろ、相手と過去は変えられないもの。変えられるの は自分と未来だけ」なのですから。覚悟が出来ると、人は結構強くなれると思います。そうなるとストレスも自分を鍛えるために役立つことにもなります。
 「我に七難八苦を与えたまえ!!」と言ったのは、戦国大名の山中鹿之助(元大阪医科大学学長山中太木博士の祖先)です。ここまでの境地にはなかなかなれませんが、「何でもいらっしゃい」と言えるくらいを目指したいものです。
 春は万物が誕生し飛び立っていく季節です。卒業、入学、入社、退社、転勤等々、環境が大きく変わる季節です。どうぞストレスと上手にお付き合いいただきご活躍願いたいと思います。
 最後に一言。昨今の「中国産餃子中毒事件」について。これまでに何度も書きましたが「身土不二」の立場から「食の自給率を上げよ!」と重ねて申し上げたい。なぜなら、「食の安全は、その輸送距離に反比例する」ことが明らかなのだから。

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