ピーエスの取り組み - 過ぎたるは及ばざるに劣る

冷え

その30. 「冷え」は万病の元 -女子高生にはストッキングをはいてもらいたい-

生理学博士 久間英一郎

風邪は万病の元といわれていますが冷えもまた万病の元なのです。今回はこの冷えについて書きます。

人は、冬寒い所に出ると体が冷えます。寒気に触れると、人は自律神経が緊張して毛細血管を収縮させ、血液を人にとって一番大切な脳や内臓に集めそれを守ろうとします。その結果、手足は人の正常な防衛反応として冷えるのです。

健康な人の場合は、一時的に冷えても暖かい室内に入ると30分もしないうちに血液が元の手足に戻りだすため、ポカポカと暖かくなるのです。ところ が、冷え症の人は、暖かい部屋に入っても、風呂や布団に入っても手足が冷たいのが特徴です。これは、食生活習慣の乱れや薄着などの積み重ねの結果、徐々に 体温調節機能をつかさどる自律神経の働きが低下し、正常な血液の流れが悪くなったためにおきるとされています。自律神経は、自分が意識しない所で働く神経 で、内臓機能・免疫機能・ホルモンバランス・血圧の調整等に深く関与しているため、冷え症になると胃痛・便秘・頭痛・生理痛・むくみ・生理不順等々を引き 起こしやすくなるのです。特に女性は、エネルギーを発生する筋肉量が少なく、また生理との関係や過度のダイエット指向等々で冷え症のリスクが高いので注意 が必要です。

次に冷え症対策として、まず食事の面から。地中で生きている作物(人参・ゴボウ・大根・蓮根・芋等)は体を温めるようにできていますので積極的に食 べて下さい。逆に太陽に向かって伸びている野菜類は、体を冷やしやすいので、熱を加えて、油や味噌で炒めて、また生姜・ニンニク・玉葱・唐辛子等体を温め る食材と一緒に調理して食べて下さい。熱帯で採れる果物(バナナ・パイナップル等)は、暑さから身を守るために体を冷やすようにできていますので避けてい ただき、代わりに寒帯で採れるリンゴにして下さい。牛乳・コーヒー・お酒も過ぎないように。そして全体として少食を心がけて下さい。少食にするにはただ一 つ、ゆっくりよく咬んで食べることです。

次に生活面。冷えを感じたら、腰湯(半身浴)、さらには足湯をお薦めします。じっくり発汗が促され、発汗は、毒抜き・塩抜き・ストレス抜きにつなが り、自律神経の改善にもつながります。もう一つ重要なことは、お腹を温めることです。何もない時は両手を重ねてお腹に当てる(手当)だけでいいのです。お 腹を温めただけで足の温度は2~3度上がるといわれています。お腹を温めることをお薦めするもう一つの理由は、腸内細菌叢の改善に役立つことです。冷えは 血流との関係で語られることが多いのですが、血液そのものがよくなることがさらに望ましいことは明らかです。腸内細菌叢の改善は、血液浄化につながるから です。

今日の冷えは、夏の冷え(冷房病)の方がより深刻ですが、それだけより原点に戻った対策が望まれます。

最後に筆者は、真冬を迎えるといつもハラハラするのですが、それは女子高生のミニスカート姿にです。勿論その丈にではありません。冷えとの関係にお いて是非ともストッキングをはいてもらいたいのです。高校生といえば一人前の女性として体が完成していく時期。この時期に下半身を冷やしてよいはずはあり ません。筆者は、昨秋ヨーロッパを訪ねましたが、気温10度のアイルランドでも、20度近いイタリアでもミニスカートはおろかスカート姿の女性にもほとん どお目にかかりませんでした。女性と子供の味方の筆者といたしましては、女子高生自身のためにも、日本の将来のためにも、是非とも女子高生の冷え対策を関 係者に強く望むものです。

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