ピーエスの取り組み - 過ぎたるは及ばざるに劣る

その他

その4. 「間違い期」「反省期」「気づきの期」

生理学博士 久間英一郎

この夏、前後して中国とアメリカに行く機会を得ました。その時に目にした光景がとても対照的でしたので、今回はそれについて少し書いてみたいと思います。

これまで「中国人は、脂っこい中華料理を常食としているが、ウーロン茶等をよう飲むために肥満は少ない」と思っていましたが、予想外に多いのに驚き ました。しかも若い人の間にも広がっているのです。北京の銀座通り、ワンフーチンには約100メートルおきにハンバーガーショップが並び、コーラやアイス を片手にハンバーガーをほおばっている若者の姿を見つけるのに苦労はしないのです。日本で2、30年前から繰り広げられた光景です。今後肥満はもっともっ と増えるでしょう。まさしくアメリカが行き着いた、日本が行き着こうとしている白砂糖、高脂肪、高カロリー(勿論、低ビタミン、低ミネラル、低食物繊維) の間違った食文化であります。中国は今、経済の改革、解放の裏で確実に食の「間違い期」に入ったと私は考えます。

次にアメリカはどうだったかというと、「肥満が行き着く所まで行った」という感を禁じえませんでした。しかし、そういう状況下であっても、私はこの 問題に対する希望の光を日本料理の繁栄の中に見出したのです。枝豆や豆腐をつまみにビールや日本酒を飲んでいる人たちが実に多いのです。枝豆・豆腐に加え て、焼きサンマ、うどん、寿司、納豆巻き等々。それらを食べている人たちは、心なしか(いや確実に)スリムなのです。

「食の間違い」が行き着いたことに気づいたアメリカは、新谷弘実博士が「胃腸は語る」(弘文堂)で指摘している通り、マクガバン報告以後、確実にその「反省期」に入ったと言えると考えます。

ひるがえって我が日本はどうかというと、医・食に係わる行政の閉鎖性も加わって、無批判的にアメリカを追いかけているのが現状でありましょうか。

アメリカが間違いに気づき、反省し、その結果、伝統的日本食を高く評価している現状に我々はもっと自信を持ち、自分たちの間違いにいち早く気づかなければならない「気づきの期」に入っていると思います。

前の記事 コラム一覧へ戻る 次の記事
トップ