ピーエスの取り組み - 過ぎたるは及ばざるに劣る

血圧

その80.血圧と降圧剤を考える(下)脚の筋肉運動と少食が薬の代わりだ!

生理学博士 久間英一郎

今回は、薬を使わないで血圧を下げる方法について書きます。それは、ズバリ、脚の筋肉運動と少食です。高血圧の原因については、①塩分の摂り過ぎ ②動脈硬化 ③ストレス ④水分の摂り過ぎ ⑤下半身の衰え などが複雑に絡み合っていますが、医学博士石原結實先生によりますと、「これらを一気に解決してくれる画期的な方法」が「下半身=脚を鍛えること」だそうです。
 確かに、腰からお尻、太もも、ふくらはぎにかけての筋肉をしっかり使うと、体温が上昇し、発汗が促進されることを想像すると大いにうなずける所です。
 米国心臓協会のケリー博士らは、「筋肉運動を続けると、上(収縮期)、下(拡張期)の血圧とも3〜4%低下する」ことを実証しています。
 さらに我々にとって有難いことは、筋肉運動を続けていると、「90歳になっても筋肉は発達する」のだそうです。
 そこで石原博士推薦の筋肉運動を挙げますと、①ウォーキング②スクワット ③もも上げ運動
④カーフレイズ(かかと上げ運動) ⑤手足ぶらぶら運動 ⑥腰かけ足踏み運動 ⑦足の裏たたき運動 ⑧フラミンゴ運動(片足立ち/約1分)このうちできそうなものを選んで少しずつ取り組んでみてください。
 これらの運動は、多かれ少なかれ、下肢の動脈のバイパスや毛細血管の数を増やし、上半身に集中している血圧を下半身に下ろして、「頭寒足熱」の状態にしたり、ふくらはぎのポンプ機能を強化して血管や心臓の働きを助けたり、タウリンなど体内の降圧物質の産生を増加させたり、血管を軟らかくする物質の分泌を促したり、さらには腎の利尿機能を高め、余分の水や塩分を排泄したりして血圧を下げる方に役立ってくれているのです。
 次に食物について。血圧は、ご承知の通り「腎」がコントロールしていますので、腎が困ることをしないことです。腎が困るものは、風邪、冷え、暴飲暴食(糖尿)、必要以上の塩分。逆に腎が喜ぶものは、新鮮なビタミン、ミネラル、身体を温める、少食。具体的には、玄米、黒豆、黒ゴマ、小豆、ソバなどの食物。さらには利尿作用の強いスイカ、キュウリ、梨、緑茶、紅茶、そして動脈硬化を防ぎ血圧を下げる青魚のEPA、DHA。身体を温める生姜、七味、ゴボウ、レンコン、人参、山イモ。タウリンを含む魚介類(エビ、イカ、タコ、貝、イクラなど、これらは血圧を悪化させない)さらにコレステロール代謝に役立つニラ、ニンニク、ネギ、タマネギ。さらには納豆、醤油の発酵食品。カリウムの豊富なリンゴや野菜(高血圧の多い青森でも、リンゴを5個以上食べた人たちに高血圧が少なかったという。これはリンゴに含まれるカリウムが食塩のナトリウムを排泄してくれたためなのです)。
 次に自律神経の調整に役立つカラオケ、笑い、ストレス解消にも役立つアルコール少々。お風呂はぬるめのお湯でゆったりと...。
 以上の食物を腹7分目程度の少食にしていただくことが肥満解消にもなり、それが血圧低下に役立つのです。
 上が170、下が100程度であっても薬の前に一度お試しいただく価値は充分あると思います。

参考文献
「高血圧の9割は『脚』で下がる!」石原結實著(青春出版社)

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