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伝統食

その109.コロナ禍を伝統食(和食)復権のテコとせよ!⑤【 まとめ】 コロナも生活習慣病も 『敵は我にあり』

生理学博士 久間英一郎

待望のワクチン接種も始まり、コロナ対策も新たな段階に入りました。
 そこで今回は、これまで数回に渡り「コロナ禍を伝統食復権のテコとせよ」と題して書いてきました内容のまとめをしたいと思います。
 これまでの国のコロナ対策は、マスク・手洗い・三密回避に代表されますが、これはウイルスを体内に侵入させない対策で、いわば"敵は外にあり"の思想です。
 ところが、敵は目に見えない上に、飲食・空気を取り入れないとヒトは生きて行けない宿命を持っている以上、ウイルスを体内に侵入させないことには限界があります。
 そこで次の関門。侵入は許しても感染させない対策、ここで活躍するのが免疫力です。ヒトには飲食・空気の取り入れ口である食道・胃腸や気道・肺等に総免疫細胞の約7割が配備されているのです。その代表が免疫グロブリンIgAです。
 このIgAは民族によって欠損者に大きな違いがあることが知られています。米を常食とする民族(日本・中国・韓国等)は欠損者が少なく、逆に米を常食としない民族には欠損者が多いという。これが見事にコロナ感染者の多さに比例しています。つまり、免疫グロブリンIgAが体内に侵入してきたウイルスを撃退したことが推察されます。
 また、近年日本の若い人に米離れが進んでおりますが、これもまた若い人達にコロナ感染が相対的に多く見られることと相関していると思われます。
 このように日本人にとって米食は、太古の昔から続いている食文化であるだけでなく、免疫食と言うこともできるかと思います。
 対して小麦(パン)はどうかと言いますと、世界の小麦生産の99%が遺伝子組み換え小麦という。遺伝子組み換えによる小麦タンパクの激変に腸がアレルギー反応を示し、腸の粘膜上皮のバリアー機能が損傷され、コロナ感染リスクを高めるのです。パン食民族にコロナ感染者が多いことからも小麦のリスクが理解される所です。
 では、そもそも免疫力とは何か?その本質と来源をしっかり理解することが何より重要です。免疫力とは、ヒトの免疫システムを担う白血球の力のことであり、そしてその白血球は赤血球より醸成され、赤血球は食物から腸粘膜で造られる(森下敬一博士)という事実です。
 つまり食物→赤血球→白血球(免疫力)、この一連の流れが健康的に進むことが免疫力が高いという意味なのです。
 こう見てくると免疫力のスタートもまた食物であることがわかります。この時、日本人の免疫力向上に米がいいか小麦(パン)がいいか、味噌汁がいいか牛乳がいいかは賢明な皆様ならすぐご理解いただけるでしょう。
 米や味噌汁は日本人が古くからなじんできた食事ですが、パンや牛乳は一般に普及するようになってまだ100年も経っておりません。
 免疫とアレルギーの専門医、榎木義祐博士は、この免疫とアレルギーの違いを「慣れがあるのが免疫、慣れがないのがアレルギー」と指摘します。慣れの有無を決めるのは、個人の感覚ではなく、腸内フローラであると考えます。腸内フローラが喜ぶ食物が「慣れ=免疫」なのです。そうなると伝統食(和食)が免疫力を高めることは文句のつけようがありません。
 なぜなら、伝統食(和食)には脂肪の質の良さに加えてビタミン・ミネラル、食物繊維、それに発酵食品に含まれる微生物や酵素等が腸内フローラのバランスを整え、短鎖脂肪酸等とコラボしながらより一層免疫力を高めるのです。  戦後、私達は素晴らしい日本の伝統食を軽視し、国を挙げて欧米食に突き進んできました。その結果、生活習慣病と医療費の激増、そして今日、コロナの脅威に苦しんでいます。誤って欧米食を選んできたのは私達自身です。ゆえに「敵は我にあり」なのです。
 今こそ私達の賢明な判断で伝統食(和食)を復権させましょう。
 コロナで支払った苦難の代償として伝統食(和食)を復権させることができれば日本の未来が明るく開けてくると確信します。

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