ピーエスの取り組み - 過ぎたるは及ばざるに劣る

その他(食)

その48. 健康を蝕む有毒化学物質(下) ~排便・発汗・呼吸をフル動員せよ!〜

生理学博士 久間英一郎

今回は、前回に引き続き身体に侵入する毒のうち、有害金属(ミネラル)について書きます。
 私たちは、この地球上に住む限り、地球上で採れた食物・水・空気をいただき、地球上で入手した生産物を利用して生きる他ありません。これらの食物・水・ 空気・生産物が、今は様々な有害物質によって汚染され、それが知らないうちに私たちの体内に入り、体調不良の原因になっていることをご存知でしょうか。
 例えば、肩こり、冷え性、風邪を引き易い、肌のクスミ・シミ、抜け毛、情緒不安(イライラ)、疲労が抜けない、なかなか痩せない等の症状の奥にこの有害金属の存在が指摘されているのです。
 水俣病で有名になった水銀(マグロ・カジキ等の大型魚、目薬、鼻スプレー等に含有)は、肝臓・腎臓障害、アレルギー、肥満、皮膚障害、骨障害等の代謝障 害に加え、中枢神経系(感覚障害、難聴、運動失調、言語障害、四肢のシビレ、うつ症状、自律神経症状、情緒不安、食欲不振等)に悪影響を及ぼします。さら には、動脈硬化、心筋梗塞を進行させたり、子どもの自閉症等にも関係が深いことが報告されています。特に胎児は影響を受け易いので妊娠中の方は要注意で す。
 次に鉛汚染。タバコ、排気ガス、塗料、大気汚染、缶詰、毛染め等を汚染源としています。子どものおもちゃ、アクセサリーにも水準以上の鉛が含まれている ことが問題化しています。水道管にも未だに使用されているとの指摘もあります。このようにして体内にも侵入した鉛は、蓄積性があり、脳・神経・肝臓・腎 臓・血液・血管・消化管・生殖器・骨格に悪影響を与えるのです。また、「閉経後の女性の骨量喪失は、血中鉛濃度を上昇させ、高血圧のリスクを高める(米国 医師会誌)」との報告もあります。
 アルミニウムは、鍋や食器等から。カドミウム、ヒ素、ダイオキシン、農薬は、米、野菜、水道水等から私たちの体内に侵入し健康を蝕むのです。
 これらの有害金属の最大の脅威は、蓄積されつつ、複合汚染しつつ脳神経を蝕み、人の精神・行動にまで悪影響を及ぼす点にあると筆者は考えています。
 では、これらの有害金属等から身を守る対策としては、まずはこれらの有害金属類を身体に入れないように努めること。一旦、摂り入れてしまったら人の持つあらゆる機能を駆使して、解毒・排出(デトックス)することです。
 その中心は食事です。新鮮なビタミン・ミネラル・食物繊維の豊富な玄米・野菜・海藻・果物を摂ることです。有害金属等は、多くの場合、体内の脂肪にくっ ついて存在しているので、新鮮なミネラルを補給すると有害金属と脂肪は離れて代謝され易くなるのだそうです。なかなか痩せないという方は試してみる価値は ありそうです。
 また、食物繊維は、有害金属等を吸着して便として排出するのに役立ちます。納豆、味噌、天然酢等の発酵食品も腸内細菌叢の改善を通して腸の排毒に大いに 力を発揮します。さらには、ニラ、ニンニク、葱、玉葱等の硫黄を含む食品は肝臓の解毒力を高めますので、積極的に摂ってください。
 次に、運動やサウナ、岩盤浴等で体温を上げて発汗を促進することです。(生姜、香辛料も体温を上げます)家庭でのお薦めは半身浴です。おへそまで湯に入 り、じっくり汗をかいてください。寒いと感じた時には古いTシャツをみぞおち位まで切り落として着て入るのも一案です。また、腹式呼吸を時々取り入れて、 お腹の底からガス交換することも良いことです。
 要するに健康の基本は、いつの世も「扶正去邪」(良い物を取り入れて、悪い物を出すこと)、そしてその代謝を高め続けることなのです。  体内の有害金属について特にご心配な方は、毛髪や爪で簡単に測定が可能ですので、専門医にご相談ください。

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