ピーエスの取り組み - 過ぎたるは及ばざるに劣る

その他ガン

その32. 「心」がガンを治す "常に明るく前向きに"

生理学博士 久間英一郎

これまでは、「食と健康」について取り上げてきましたが、今回は「心の有り様」が健康に及ぼす影響について書いてみたいと思います。

筑波大学名誉教授、村上和雄博士は、精神的な因子が遺伝子のスイッチのオンとオフに関係する(笑いはいい遺伝子をオンにし、わるい遺伝子をオフにする)という仮説の立証のために吉本興業と協力して次の実験をしたそうです。

「21人のⅡ型糖尿病の患者を対象に、2日間にわたって、昼食をとった2時間後の血糖値を測定しました。ただし、1日目は、測定の前に50分間《糖 尿病の仕組みについて》という大学の先生の講演を聞いてもらいました。・・・2日目は、B&Bという漫才コンビのステージを見て、思いっきり笑ってもらい ました。そして1日目、2日目、それぞれ空腹時血糖値を食後血糖値との差を見たわけです。」「その結果、大学の先生の講義だと、空腹時と比べて平均で 123M/Qも上がりました。...漫才の後だと、空腹時と食後の変化は77しか上がりませんでした。...講義を漫才にするだけで血糖値の上昇が46も抑えられ たのです。」

同様の話を産婦人科医で日本笑い学会会長の昇幹夫先生からも聞いたことがあります。「ガンや心臓病の人を含む男女19人(20~62歳)から開演前 後に採血し3時間後の落語での笑いの効果を調べたのです。ガンに対する抵抗力の指標の一つとなるNK活性(ガン細胞を攻撃するナチュラルキラー細胞の元気 度)は、笑う前に数値が低すぎた人は、すべて正常範囲までアップし、高すぎた人の多くも正常近くの数値に戻りました」と。笑いが効いたのです。この話に は"オチ"がついていて、その落語家の名は「キクゾー」だったそうです。

これらの笑いの効果は前述の村上博士の言葉を借りますと、笑いがその人の持っている自然治癒力を高めようとする遺伝子を「スイッチオン」にし、自然 治癒力を下げようとする遺伝子を「スイッチオフ」にするのだそうです。このスイッチオンは、笑いだけが持っているのではなく、人が持っているポジティブ (前向き)な姿勢、すなわち、希望、信念、夢、感謝等々の心の有り様がいい遺伝子をスイッチオンさせるのです。逆にネガティブ(後向き)な姿勢はいい遺伝 子をスイッチオフにするのです。

ガンのイメージ療法で有名なアメリカのサイモントン博士は、患者の「身体の中の白血球(リンパ球)がガン細胞をどんどんやっつけている」という視覚的イメージを患者に描き続けさせることによってガン治療に大きな実績を上げています。

ホリスティック医学、統合医療の権威、帯津良一博士もこう言っています。「患者の生と死を最終的に分けるものは、生に対する感動、ときめきを持てる かどうか、またそのような生命エネルギーの高い「場」に身を置けるか、そういう「場」をつくる努力ができるかどうかにある」という趣旨のことを述べていま す。

いずれの医師、学者も、少しずつ言葉は違いますが、「明るく前向きに感謝を忘れず、いい場をつくる努力をする人にサムシンググレート(神)がスイッチオンしてくれるのでは」という趣旨だと思われます。

問題は、このような「心の有り様」を持ち続けるにはどうすれば良いか。日本には素晴らしい言葉があります。「健全なる精神は健全なる身体に宿る」。心も身体のうち。心と身体はどこまでいっても切り離せないのです。

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