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発酵食品

その87.韓国女性の美しさの秘密は? 『キムチ』、『コラーゲン』、『野菜』にあり

生理学博士 久間英一郎

 最近、若い女性から「韓国女性の美しさの秘密は?」という質問を受けます。今回はこの件について私見を述べてみたいと思います。  結論から先に申し上げますと、大きく三つの柱から説明できると考えます。
 一つ目は、言わずと知れた「キムチ」です。二つ目は「コラーゲン」。三つ目は、色とりどりの新鮮な「野菜」の三点です。
 まず「キムチ」。「キムチ」の材料は、白菜、きゅうり、大根、にら、にんにく、唐辛子等ですが、これらの野菜が乳酸菌によって発酵されることによりあの独特の味覚をつくっています。
 「キムチ」の利点の一つは、発酵食品であること。しかも野菜の発酵食品であることから、食物繊維も手伝って、最近話題の「腸内フローラ」を善玉菌優位に保つことができ、その結果、ビタミン、ホルモン、酵素、タンパク等の合成を高め、アンチエイジングと免疫力向上に役立つこと。
 次に「キムチ」は加熱調理されていないため、ビタミンC(コラーゲン合成に不可欠)等の美容に役立つビタミンが壊れずに温存されていること。
 また、唐辛子に含まれる辛味の成分、カプサイシンが体温(発汗作用)を上げ、脂肪燃焼、代謝が促進され、適度な皮脂膜が形成されることによって、お肌の乾燥を防ぎ、みずみずしいお肌を守るのです。
 加えて、にんにくにも血行促進、疲労回復、唾液(若返りホルモン含む)の分泌促進、肝臓の解毒、ビタミンの体内留保(体内に長くとどめる)の促進、美白作用など全体として細胞の賦活(若返り)作用を促進することが知られています。
 二つ目は、豚足やサムゲタン、コムタンスープ等、韓国の人達は、肉を皮や骨ごと調理して、それに含まれる「コラーゲン」を上手に摂取している点です。
 「コラーゲン」は、お肌(真皮)の70%を占める成分で、これがお肌の表面(表皮)の状態を左右するのですから、美容に一番重要な成分と言えるのです。しかもこの「コラーゲン」は、「究極の化粧品」たる水分を保つことができ、これを表皮へ供給するのですからなおさらなのです。
 お肌に一たびトラブルが発生した時も「コラーゲン」がしっかりしていると、素早く古い細胞を代謝させ正常に修復してくれるのです。  最後に色とりどりの「野菜」について。韓国の人達は、肉以上に「野菜」を食べているそうです。しかも中国伝統医学にいう五味(酸・苦・甘・辛・咸)や五色(青・赤・黄・白・黒)の考えがよく生かされており、そのことが美容に不可欠なビタミンCを含む栄養のバランスがよいことを意味しています。
 無臭ニンニクサチヴァミン複合体の開発で有名な小牧久時博士は、1991年、カナダのトロント大学で行った「サチヴァミン複合体(無臭ニンニク)とコラーゲンとビタミンCとの相乗効果のメカニズムに就いて」と題する学術講演の中で次のように述べています。
 「サチヴァミン複合体、コラーゲン、ビタミンCはそれぞれ単独でも極めて有効ではあるが、三者を共存せしめたる場合の相乗効果は極めて強力であることが首肯されるであろう。」
 これは韓国料理の美容効果の高さを意識したものではないと思いますが、結果的にその効果の高さを裏付けています。  最後に筆者は、韓国の自然環境も一役買っているように思います。日本と比べて韓国の冬はとにかく寒いのです。「氷水で顔を洗うとよい」という人がいる位ですから、冷気、冷水もお肌を引きしめてよいのかも知れませんが、冷気には水分を奪って乾燥肌をつくる心配があります。この心配を前述の三つの相乗効果がうまく防いでくれているので、韓国の人達は「いいとこ取り」ができているように思います。
 このように美容によい韓国料理だからといって日本人が一気に導入するには注意が必要です。キムチを毎日食べたのでは胃腸がもちません。韓国人とは自然環境もDNAも違うのです。ですから、筆者の大好きな納豆キムチ、キムチ味噌鍋等々の日韓親善料理からスタートしてはいかがでしょうか?

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