ピーエスの取り組み - 過ぎたるは及ばざるに劣る

発酵食品

その20. 納豆食のすすめ

生理学博士 久間英一郎

日本が世界に誇れる食の一つに納豆があります。筆者の本心では「...の一つ」ではなく、最高の食と思っています。

ご存じの通り、納豆の原料は大豆です。大豆は「畑の肉」といわれる如く日本人にとって魚とともに重要なタンパク源であった訳です。大豆には、良質の タンパク質に加え、活性酸素を消去し動脈硬化を防ぐサポニン、善玉コレステロールを増やし悪玉コレステロールを減らすレシチン、女性ホルモンとよく似た構 造をもち血圧や肥満予防に役立つイソフラボン等々の成分が血管のつまりを防ぎ、循環器系疾患に優れた効力を発揮します。さらには、油分の酸化を防ぐビタミ ンE、便秘予防に役立つ食物繊維等々、挙げればきりがありません。

納豆は以上の大豆の作用に加え、発酵食品であるという利点が重なるのです。筆者が最高の食であるとする理由もまさにこの点にあります。発酵食品の利 点は、それが「酵素の宝庫」であることです。酵素とは、体内の化学反応(食物の消化、4,000種類あると言われています。これらの酵素は、年とともに減 少しますので食物で補う必要が出てくるのです。さらに発酵食品には、腸内善玉菌を増やす働きがあり、そしてその腸内細菌がまた酵素を生産するという、これ また結構づくしなのです。

長寿学の権威で東北大学名誉教授、近藤正二博士は、ある小学校で納豆給食を実施したそうです。その結果「半年、1年と続けているうち、給食しないク ラスに比べ、背筋力がはっきりと強まってきた」と報告しています。本紙の読者には中高年の方が多いと伺っています。足腰を丈夫にするためにも、納豆食はお 勧めです。

この他にも納豆には、ナットウキナーゼという成分が血栓を防ぐことが知られており、また、ダイエットや美肌づくりにも有効であることが知られています。

「朝霜や室の揚屋の納豆汁」これは、江戸時代の俳人、与謝蕪村の句です。俳句にも読まれる位ですから、納豆がいかに日本人の食生活に古くから根付いていたか伺えます。

この「納豆汁」について東京農業大学教授、小泉武夫氏のおもしろいコメントを紹介します。要約すると、大豆のタンパク質の含有量は17~18%、牛 肉のタンパク質の含有量は18~19%で、両者のタンパク質の量はほぼ同じである。そこで納豆汁。味噌は大豆でつくるものであり、大豆の固まりである。そ の上、納豆汁の具は大概が豆腐であるので、納豆汁はもう大豆タンパク三兄弟ということができる。数十グラムもの牛肉にも匹敵する栄養である。そして結論と して「まさに納豆汁という知恵は、日本の食の文化が誇るべき民族の知恵だといってよいだろう」と。

納豆を味噌汁に入れる納豆汁の他、最近筆者が気に入っている納豆のレシピを紹介します。納豆カレーです。納豆をよく混ぜた後、カレーに入れて召し上がると絶品です。納豆嫌いのお子様にもぴったりです。

我々の財産、納豆を毎日食べて生涯現役といきましょう。皆様、ナットウ食う?

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