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その85.『喫煙は恐ろしい』 その①大人編 喫煙はガン、老化、ロコモの促進剤!
生理学博士 久間英一郎
喫煙(タバコ)の害については、これまでにも多数書かれてきましたが、この害は本人はもとより周囲の人達にまで害が及ぶ(受動喫煙)点、特に将来を託す子供達にも深刻な害が及びますので、二回に分けて書きたいと思います。まずは大人編。
識者によると、タバコの有害物質は有名なニコチン、タール以外にもタバコが不完全燃焼することによって発生する有害物質を含めると、約70の発ガン物質、200の有害物質、7000の既知の化学物質、10万以上の未知の化学物質があると指摘しています。
これらの化学物質が複合汚染しながら体の遺伝子(DNA)を傷つけ、最終的には細胞をガン化させるのです。全ガンの実に1/3〜1/4が喫煙が原因とされているのはこのためです。 長期の喫煙者は結果的に10年短命になるという報告もあるようです。喫煙は、車の排気口に顔を近づけて生活しているのと同じようなものです。だから、「毒は全身をめぐり、全身を犯す」のです。
今日は、私達の環境は、放射能、車の排気ガスやダイオキシン、PM2.5等といった化学物質にいや応なくもさらされている時に、自分の意思で止めることのできる喫煙を加えて、さらなる複合汚染を重ねることはないでしょう。
次に、喫煙の害については「ビタミンC、コラーゲン、美容と健康」の観点からも大いに説明ができる所です。
「喫煙するとビタミンCが壊れる」という言葉は皆様よく耳にされると思います。ではビタミンCの最大の働きは何でしょうか?それは紛れもなくコラーゲンを合成することなのです。ビタミンCがなければコラーゲンはできません。
ということは、喫煙によってコラーゲンができなくなってくれば、まず美容上の問題がでてきます。コラーゲンはお肌の健康のキーを握る真皮の約70%を占める成分ですので、シワ、シミ、クスミ、たるみ、肌アレ等お肌のトラブルが出やすくなります。
「アメリカのオハイオ州の双子で喫煙者と非喫煙者の写真を比較したところ、双子のうち喫煙していた方は明らかにシワが目立ち、かつ長期喫煙者の方がより老けて見えることがわかっている」との報告もあるそうです。
さらには、コラーゲンは骨、関節、筋肉、腱、血管等の重要な構成成分ですので、喫煙によってコラーゲン合成が弱くなるとロコモを促進することになって早死のリスクを高めるのです。
また歯茎の約60%がコラーゲンからできていることからして、歯茎の老化が進んだりまた色が黒ずんでくることは皆様よくご存知の通りです。
コラーゲンは免疫をつかさどるマクロファージを活性化することから、喫煙によりコラーゲン合成が下がると、ガンが新生血管を作らないように予防したり、風邪やインフルエンザを予防する力が低下することは避けられないことになるのです。
最後に、となりの部屋で吸う(分煙)から大丈夫だとか、ファンや空気清浄器を回しながら吸うから害が少ないとか言う人がいるようですが、調査によるとこれらには全く害を減らす「効果はない」そうです。なぜなら、髪や衣類さらには呼気に付着するからなのだそうです。要注意!
タバコによる税収入は約2兆円。これに対し、社会的損失は5~7兆円だそうです。そしてタバコ1本で約14分命が縮まるのだそうです。
皆さん、禁煙をスタートさせるべきはいつからでしょうか。明日?いや「いまでしょ!」
次回は子供達に対する影響について。