ピーエスの取り組み - 学術論文

7.7312 ハツカネズミがEhrlich癌に対して実験的獲得性に抗移植性の免疫を作る現象に与える各種マクロファージ誘発物質の免疫誘導能力の比較

榎木義祐

医学と生物学 第87巻第5号 1973年11月10日

我々は1)  Ehrlich 腹水癌においてゼラチンまたはその近縁物質の投与によっても獲得性に抗移植性の免疫現象を誘発しうることを知った。ゼラチンはマクロファージ誘発物質であ ることは知られている。今回はゼラチン以外のマクロファージ誘発物質であるペプトン、グリコゲンおよび流動パラフィン等を用いてこの免疫現象がマクロ ファージの誘発ということによって一元的に説明しうるものか否かを知るために以下の実験を行った。

方法と結果

ブタ皮ゼラチン、重合ブタ皮ゼラチン、酸性重合ブタ皮ゼラチン、ポリペプトン、グリコゲンの1%水溶液、流動パラフィンおよび生理食塩水のおのおの0.3 mlを7日間隔計5回、ハツカネズミの鼠径皮下に注射した後、最終注射の7日後に Ehrlich 腹細胞5 x 106個を腰部皮下に移植して1ケ月後下の如き結果を得た。

前処置物質

癌細胞移植がつかなかった数/移植した数

ブタ皮ゼラチン 4/8 50
酸性重合ゼラチン 6/11 55
酸性重合ゼラチン 2/3 67
ポリペプトン 5/12 42
グリコゲン 1/12 8
流動パラフィン 0/12 0
生理食塩水 1/11 9
考察

マクロファージ誘導物質として知られるもののなかでも蛋白組成のものは有効であり、糖および炭化水素系のものは有効でなかったことからマクロファージ誘発ということによってこの免疫現象を一元的に説明する事はできないと考える。

English Title for NO.7312:Comparison of the effect of macrophage-inducing substances on immunity in mice with acquired resistance to Ehrlich's carcinoma transplant
Yoshisuke Enoki [Department of Microbislogy,Osaka Medical College,Takatsuki]Medicine and Biology.
87 5:November ,10,1973.

  1. 榎木義祐, 中田高秀, 西里枝久子: Ehrlich腹水癌における実験的免疫現象.本誌 87(5): 311-312, 1973
(受付:1973年8月10日)
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