ピーエスの取り組み - 過ぎたるは及ばざるに劣る

その72.子供に与えたくない食② 精製塩(化学塩)自然塩を適量摂るのがベスト

生理学博士 久間英一郎

「塩らしい」「手塩にかけて」「敵に塩を贈る」等々塩にまつわる言葉が多く残されているのは何故でしょうか。

 それは、塩が私達の生命を維持するのに必要不可欠だからと思われます。何故不可欠なのでしょうか。

 国際自然医学会会長、森下敬一博士の言葉を借りると、「われわれの体液や血液に塩分が含まれているのは、原始生命が海から生まれ、そしてそこで育まれて きたためだ。細胞は、常に一定の塩分を含んだ水に浸されていなければ生きられない、という宿命を背負っているのである。すなわち細胞が生命活動をおこなう 際には、必要な浸透圧が一定に保たれていることが不可欠な条件で、その適度な浸透圧を維持するために、カリウム、カルシウム、マグネシウム、鉄、銅などと ともに塩分(ナトリウム)が一定の濃度で含まれていなければならないのだ。」

 つまり、高い生命力を維持するためには、ナトリウムとカリウムのバランスを基本に他の微量ミネラルのバランスが必須なことがわかります。このミネラル源を私達日本人は、長い間海の塩に求めて生きてきたのです。

 ところが、昭和46年、法律により日本から塩田(自然塩)が消えてからは、塩はイオン交換膜透析法によって化学的に製造されたため、塩化ナトリウム 99%以上の極めて純度の高い化学物質と化してきたのです。それまでの自然塩に含まれいた貴重なミネラル(ニガリ)が見事に欠落してしまったのです。これ を食べさせられた国民はたまりません。

 生命活動の高い、つまり代謝の活発な子供達にこのミネラル欠落精製塩を与えたらどうなるか?朱に交われば赤くなる、生命力のない塩を与えると生命力が低下する。すなわち「今の若者は身長は伸びたが、体力はサッパリ...」という言葉が示している通りなのです。
 さらに内臓や骨組みがひ弱で、抵抗力の弱い体になっています。またミネラル欠落塩は頭皮の血流を悪化させますので、赤褐色の髪が多くなったり、若白髪、若ハゲの原因にもなっています。

 このように精製塩は、人の「生理作用を根底からゆさぶる」(森下博士)ものですので、未来を託す子供達には特に与えてはならないものなのです。

  以前にも塩について書いたことがありますが(その⑫⑬参照)、今日の日本では、国をあげて減塩ブーム。この減塩は正しくありません。正しくは、精製塩(化学塩)は、減塩ではなく「禁塩」にすべき。自然塩は、適量をしっかり摂るべき。これが正しい態度です。

 元気いっぱいの子供達は、少々自然塩を摂り過ぎたとしても、運動して汗をかいて塩分を出したり、米や豆、イモ、野菜等をしっかり摂ると、その中にあるカリウムが余分な塩分(ナトリウム)を上手に流してくれるから安心なのです。
 自然塩を適量摂ると、一言で言えば体の流れ、代謝が円滑に進むのです。代謝の円滑化を通して、血液の浄化、血液本来の機能の強化、腸の蠕動運動の助け、腸内異常発酵の抑制等に役立つのです。

 また、塩の殺菌力や防腐力によって急性肺炎等も防ぐこともできるそうです。さらには、「病人や虚弱者とくに胃腸の弱っている人は、生理的な意味での良質(純粋の意味ではない)の塩を不足しないように補給することが大切だ。」(森下博士)
 また、石原結實博士も、「塩は体を温め、免疫力を上げる!」と指摘しています。

 白砂糖もそうなのですが、この精製塩で困るのは、様々な食品の中に混入されている点です。子供達の好きなハム、ソーセージ、マヨネーズ、バター、パン他 様々な加工食品に入っています。ですから賢明な皆様は、できるだけ加工食品は摂らずに、自然の食材を自然塩他の調味料で調理して子供達に差し上げていただ きたいと思います。これこそ、「手塩にかけて」育てることではないでしょうか。 「小児には、徳育よりも知育よりも体育よりも食育が先」(村井弦斎)真弓定夫先生より伺った名言です。

前の記事 コラム一覧へ戻る 次の記事
トップ