ピーエスの取り組み - 過ぎたるは及ばざるに劣る

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その41. 美人は夜つくられる!~快眠は自然のリズムとの調和~

生理学博士 久間英一郎

 今回は「睡眠」について書きます。数年前に「排泄」の重要性を指摘し、 "先ず「排泄」後「食事」"と書きました。今回の睡眠もまた同様、活動した後で「睡眠」ではなく、 "先ず「睡眠」後「活動」"。それ位、睡眠は重要なのです。  現代では、生活様式の多様化に伴い睡眠時間がどんどん減少する傾向にあります。その分、日々の健康が脅かされていると言えます。  睡眠が質量ともに不足すると様々な健康障害が出てきます。疲労の蓄積、代謝障害による冷え、肥満、便秘、肌トラブル、さらには免疫力低下、記憶障害、集 中力欠如、ストレス、不慮の事故等々。ラットを用いた実験では、食事を与えなかった場合より睡眠を与えなかった場合の方が早死にしたという結果さえ出てい ます。  では、質の高い睡眠を充分にとるにはどうすればよいでしょうか?

一つ目は、月の満ち欠けや地球の自転に合わせた生体リズムなど、自然と調和した規則的な生活リズムを保つこと。  

二つ目は、運動したり、仕事をしたり、少し悩んだり、と脳や身体に適度なストレスを与えて適度に疲れさせること。  

三つ目は、寝具や寝室などの寝環境を整えること。  

以上、大きく分けて三つです。  

自然界のリズムとの調和は特に重要で、陰陽理論で説明しますと、太陽が昇って沈むまでの間(昼=陽)の中心は12時です。反対に太陽が沈んで昇るま での間(夜=陰)の中心も同じく12時です。陰(休息=睡眠)と陽(活動)はペアですから、陰陽の中心である12時の前後2時間、即ち10時から2時まで 「夜なら睡眠、昼なら最も活動すべき時間」ということになるのです。  この逆をやっている人が現代では多くなってきていますが、この人たちは慢性的 "時差ボケ"症候群と言えるかもしれません。  夜10時から2時までの時間帯の睡眠はノンレム睡眠と呼ばれ、大脳が眠る重要な時間帯とされています。この時間帯には、成長ホルモンの分泌が高まり、子 供なら文字通り順調な成長、大人ならお肌の新陳代謝の促進、全身のアンチエイジング(抗老化)、免疫力の向上、ストレス除去等々。まさしく「美人は夜つく られる」、「寝る子は育つ」のです。同じ6~8時間の睡眠でもこの時間帯の睡眠は特に価値が高いのです。現代人にとって夜10時から2時に寝ることは辛い ことかもしれませんが、せめてその日の内には眠りにつきたいものです。  次に不眠気味の方に有効な食べ物として、玉ネギをお薦めします。玉ネギには硫黄成分が多く、疲労回復を促すビタミンB1の効果を長持ちさせ、興奮した神 経を鎮め、不眠や精神の不安定を解消します。これからの季節、いつものサラダに玉ネギを加えてどうぞお召し上がりください。  その他、快適な睡眠をとるためのポイントとしては、

・朝起きたら窓を開け、日光、外気を取り入れ、体内時計を活動モードにスイッチオンする。

・昼寝をするなら3時までに。最長30分までとする。これ以上は夜に影響します。

・起床時刻を一定にする。 ・就寝直前の入浴はぬるめのお湯で。

・就寝前の酒、タバコは控える。就寝4時間前からのカフェイン飲料は控える。  

最後になりましたが快眠のための呼吸法を一つご紹介します。お釈迦様が悟りを開くために実践されたという「丹田呼吸法」です。普段何気なくしている 呼吸も実は、想像以上に大事なことなのです。  丹田呼吸法のポイントは、先ず息を吐くことです。(「呼吸」の呼は息を吐くこと)丹田(おへその下3cmあたり、いわゆる下腹部)を意識しながらゆっく り息を吐き切ります。そして息を吸い込み、またゆっくり息を吐き出します。重要なことは、丹田に意識を集中させること、これが内臓の強化にも繋がります。 この呼吸法は、自律神経のバランスや各種ホルモン系を整え、ストレスなどで頭に血が上っている状態を鎮めてくれますので、イライラしている方やのぼせ気味 の方、不眠の方などにとても適しています。お金のかからない夏の養生法の一つとして是非お試しを。

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