ピーエスの取り組み - 過ぎたるは及ばざるに劣る

ガン

その95. 私たちも医学界も 「マクガバン報告」に学ぶべし!

生理学博士 久間英一郎

 最近、巷では「肉を食うと長生きできない」「いやできる」等々話題になっているようです。私のラジオ番組でもリスナーから同様の質問を受けました。
 そこで今回は、その答えの参考になるかと思い、「アメリカ上院栄養問題特別委員会(マクガバン委員会)報告」の概要をお届けしたいと思います。
 まずは、マクガバン委員長の言葉から。「ガン、心臓病をはじめ多くの病気が増えている。そして進歩したとされるアメリカの医学を活用し、しかも巨額の医療費が注ぎ込まれているのに、アメリカ国民は病気ばかり増えてますます不健康になるばかりだ。この原因を解明し根本的な対策を立てないことにはアメリカは病気で滅んでしまう」「われわれは何か重大なことを見落としていたのではないか。また現代の医学が進歩していると考えること自体も間違っていたのではないか」
 そういう危機感と疑問に応えるべく、当委員会は、二年の歳月と巨費をかけて世界中の医学者・栄養学者の知恵を集め原因調査が行なわれたのです。
 その結果、5,000ページを超える報告書として発表され、世界中に大きなショックを与えたのです。その報告の最も重要な結論は次の二つでした。
(1)ガン、心臓病、脳卒中などアメリカの六大死因となっている病気は、現代の間違った食生活が原因になって起こる"食源病"である。この間違った食生活を改めることでこれらの病気を予防する以外に先進国民が健康になる方法はない。
(2)現代の医学は、薬や手術といったことだけに偏り過ぎた、栄養に盲目な片目の医学であった。栄養に盲目でない医学につくり変える必要がある。
 さらに次の証言をお聞きください。
 「フンザ(インダス川上流の世界的長寿地域)にはガンも心臓病もない」「二十世紀初頭には同じアメリカでもガンや心臓病は珍しい病気だった」(パーシー議員)
 「われわれは馬鹿だった。...進んだ先進国でいい食事をしていると思っていた。食事のことはアフリカの黒人に学ばなければならない!」(ケネディ議員)
 こうした証言、議論を通して当委員会はアメリカ国民に食事内容改善のためのガイドラインとして「食事改善目標」を示しました。
 その内容を要約すると次の通りです。
(1)でんぷん質を現在のカロリーの四六%から五五〜六〇%に引き上げよ。(穀物をもっと食べよ 筆者加筆)
(2)脂肪分は現在のカロリーの約四〇%から三〇%に減らせ。(肉・乳製品を減らせ)
(3)動物脂肪も植物脂肪も減らすが、それは前者がカロリーの一〇%、後者が二〇%になるようにして一対二の割合にせよ。
(4)コレステロールを一日三〇〇㎎に減らせ。(肉・乳製品・甘いものを減らせ)
(5)砂糖消費は四〇%減らしてカロリーの一五%までにせよ。
(6)塩の摂取も五〇〜八五%減らし一日三gにせよ。
 少し解説を加えますと、同じでんぷん質でも加工度、精製度の少ない、米なら玄米、パンなら全粒パン等を。穀物の皮に含まれるビタミン・ミネラル・食物繊維等が病気の予防に大いに役立つのです。
 また、同じ砂糖でも直接使う量より、工業的に組込まれている清涼飲料水に注意を喚起しています。
 この報告は全世界に大きな影響を与え、各国の栄養改善に役立っておりますが、我国では遅々として進んでいないのが現状です。
 この報告の中で、実は[肉]という言葉があまり使われてなく動物脂肪(蛋白)と表現されていますが、私の想像ではかなりの圧力があったのではと思っています。その証拠に、マクガバン委員長はその次の選挙で落選しているのです。
 ともあれ、この報告の成果によってアメリカのガン死亡者は一九九〇年台から確実に低下している(日本は増え続けている)現実を私達及び日本の医学界も学ばなければなりません。
 最後に、様々な圧力の中、本報告書発表にこぎつけたマクガバン委員長、そして本報告を日本に紹介いただいた今村光一先生に心より感謝を捧げます。

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