ピーエスの取り組み - 過ぎたるは及ばざるに劣る

その89.真の健康はまず "解毒"から始めよ! ファスティング(断食)は有効!

生理学博士 久間英一郎

 戦後豊かになった食は私達の命を支え、人生を豊かにしてくれるはずでした。
 ところが今日、ガン死はどんどん増え、毎年約37万人、心疾患、肺炎、脳疾患による死がそれぞれ約20万、12万、12万人にのぼります。
 さらに、糖尿病は1600万人を超え脂質異常病、高血圧は3000万人を超えている状態です。その結果、医療費は40兆円(介護を含めると50兆円)、これは国の税収に匹敵します。異常すぎる事態です。なぜこうなったのか冷静に見つめる必要があります。
 昭和30年と現代の食の消費量を比べると、肉は15倍、卵は12倍、牛乳製品はなんと25倍、これに対し米は0.5倍、じゃがいも0.4倍、さつまいもは0.08倍...日本人の食の見事な激変ぶりがわかります。
 問題は、この激変がなぜ病気を招いたのか?これを解くカギは「府」にあります。五臓六腑の腑(胃腸)に通じる「府」に戦後の食の代表である「肉」をつけると「腐」つまり「腐敗」の腐、すなわち胃腸に肉をつめ込むと胃腸(特に腸)は腐敗するという意味になります。これが今日の病気の根本原因と考えます。
 腸の「腐」をミクロの目で見ると、腸内悪玉菌が大繁殖して、善玉菌は影に追いやられている状態なのです。本来なら、この善玉菌を助けるべき食物繊維やビタミン、ミネラル、酵素を多く含む野菜、海そう、イモ、豆及び、日本の伝統食である発酵食品(ミソ、醤油、納豆等)の摂取もお寒い限りで、悪玉菌に勝つことができない訳です。
 加えて、化学合成添加物、農薬、重金属、さらにはダイオキシン、PM2.5等々。そして日常的に私達を取り巻くストレス、冷え、運動不足等々が"複合汚染"して腸内フローラをさらに悪玉菌優勢にし、血液は汚れ、体毒は蓄積することに。
 以上を一言で申し上げると、食が質、量ともにヒトの代謝能力を超え、"代謝異常"を引き起こしているのです。
 では、この対策として私達はこれからどうすべきでしょうか?食を変えることは勿論ですが、その前に、長年蓄積してきた「代謝異常産物=体毒」を解毒すること、いわゆる"サビ落し"です。
 サビの上からペンキを塗っても意味がないように、まず"サビを落してから食の改善が重要です。それにはファスティング(断食)が有効です。  断食といっても、そんなに大げさではなく、プチ断食でよいのです。軽いものでは、朝食抜き、1日1食、さらには1日断食、2日断食、3日以上の場合は専門家の指導を受けたほうがよいでしょう。
 断食のねらいとポイントは、減量のためではなく代謝しきれてない老廃物を燃やして流すことですから ①ビタミン、ミネラル、食物繊維、酵素が重要。そのためには、緑黄色野菜及びそのジュース。にんじん、キャベツ、小松菜、りんごがおすすめ。 ②味噌汁や梅干を少々 ③水分の補給を忘れずに(番茶が一番) ④断食の効果をより高めるために腸内善玉菌を活性化する健康食品を併用することもおすすめ。 ⑤普通食に戻す時は、一日位は重湯、おかゆそして、ご飯の順にゆっくり戻してください。
 その後は「マゴワヤサシイ食」、すなわちマメ、ゴマ、ワカメ、ヤサイ、サカナ、シイタケ、イモ等を中心とした伝統的日本食にすること。  詳しい進め方はインターネットに多く紹介されていますのでご参考ください。
 断食の利点は「整腸・浄血」が進んで免疫力が向上する。便通改善、頭脳すっきり、だるさ、頭痛、肩こり等の改善、その他、味覚、聴覚、視覚等の五感が明敏になり、総じて若い頃の感覚感性を取り戻す方向に作用します。勿論、美容にも生活習慣病予防にも役立つのは当然です。
 長崎ペンギン水族館で飼われているペンギンは長寿で有名だそうです。普通ペンギンの平均寿命は20歳くらいだそうですが、長崎水族館のペンギンの場合は30歳と明らかに長寿です。中には39歳の世界記録ホルダーもいるとのこと。彼らの長寿の秘訣は、餌でも水でもなく、週1回のプチ断食だったそうです。断食の効果はすごいですね。
 私達にも週一度の日曜日があるように、内臓にも日曜日が必要なようです。

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